早わかり特定商取引法
(1)特定商取引法(正式名称「特定商取引に関する法律」)とは
1.特定商取引法とは
特定商取引法は、消費者トラブルを生じやすい取引類型について
「訪問販売」「通信販売」「電話勧誘販売」「連鎖販売取引」「特定継続的役務提供」「業務提供誘引販売取引」の6つの形態を取り上げ、各々の取引形態ごとに書面交付の義務付け、不適切な勧誘行為の禁止、クーリング・オフの制度等トラブル防止のルールを定め、事業者による不公正な勧誘行為等を取り締まることにより、消費者取引の公正を確保するために制定された法律です。
(旧称:訪問販売等に関する法律)
2.対象となる取引類型
特定商取引法の対象となる取引類型は、次の6つです。
イ 訪問販売
自宅訪問販売、キャッチセールス(路上等で呼び止めた後営業所等に同行させて販売)、アポイントメントセールス(電話等で販売目的を告げずに事務所等に呼び出して販売)など。
ロ 通信販売
新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申し込みを受ける販売。(インターネット・オークションも含みますが、「電話勧誘販売」に該当するものを除きます。)
ハ 電話勧誘販売
電話で勧誘し、申込を受ける販売。(電話を一端切った後、消費者が郵便や電話等によって申し込みを行う場合も該当します。)
ニ 連鎖販売取引
個人を販売員として勧誘し、さらに次の販売員を勧誘させるかたちで、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品の販売又は有償で行う役務の提供。(マルチ商法)
ホ 特定継続的役務提供
長期継続的な役務の提供と、これに対する高額の対価を約する取引の形態。(エステティックサロン、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の6役務が対象とされています。)
ヘ 業務提供誘引販売取引
仕事を提供するので収入が得られると誘い、仕事に必要であるとして、商品等を売りつけ、金銭負担を負わせる取引の形態。
3.特定商取引法による規制の概要
事業者に対して、各取引類型の特性に応じて、次の規制を行っています。
1氏名等の明示の義務づけ
勧誘開始前に事業者名、勧誘目的であることなどを消費者に告げるよう義務づけています。
2不当な勧誘行為の禁止
不実告知(虚偽説明)をしたり、重要事項(価格・支払条件等)を故意に告知しなかったり、消費者をおどしたりする勧誘行為を禁止しています。
3広告規制
広告をする際に重要事項を表示することを義務づけ、また、虚偽あるいは誇大な広告を禁止しています。
4書面交付義務
契約締結時に、重要事項を記載した書面を交付することなどを義務づけています。
5行政処分および罰則
特定商取引法に違反した行為は、業務改善の指示や業務停止命令の行政処分および罰則の対象となります。
6クーリング・オフ
申し込みまたは契約後に法律で定められた書面を受け取ってから一定の期間※、無条件で解約することできるという制度です。
消費者に頭を冷やして考え直す期間を与え、この一定の期間(熟慮期間)内であれば消費者が事業者と締結した契約を一方的に解約することが出来ます。
※訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供においては8日間、連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引においては20日間の熟慮期間が定められています。通信販売には、クーリング・オフに関する規定はありません。
7契約の意思表示の取消し
事業者が不実告知や重要事項の故意の不告知等の違法行為を行った結果、消費者が誤認し、契約の申し込み、あるいは契約の承諾の意思表示をしたときは、消費者が、その意思表示を取り消すことを認めています。
8損害賠償等の額の制限
消費者が中途解約する際に、事業者が請求できる損害賠償額に上限を設けて、事業者による法外な損害賠償請求を制限しています。
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