
直接関連しない約束を公正証書に盛り込む方法

債務弁済契約公正証書の文章の中に弁済に関連のない約束を記述することを依頼されましたので、公証人に申し込んでみましたが容れられませんでした。
公正証書に他の書類を引用することは許されましたので、このページに記載する 「公正証書+附帯契約書」を作成することとなりました。
珍しい例なので、ここに紹介いたします。
<概要>
全体の構成・作成手順は次の通りです。
1.債務弁済契約公正証書とは別に、附帯契約書を作成します。
2.附帯契約書には、公正証書に入れることができなかった「その他の約束」を盛り込みます。
3.附帯契約書は、公正証書嘱託時に公証人の認証を受けます。
4.公正証書の文中に、附帯契約書を引用することを記載します。
5.これらの書式2つが、一体として依頼人の意思を反映する文書になります。
<債務弁済契約公正証書> −−−> 本旨第4条がポイントです。
P1
平成21年第 ○○ 号
債務承認及びその履行に関する契約公正証書
当公証人は、当事者の嘱託により、次の法律行為に
関する陳述の趣旨を録取し、この証書を作成する。
本 旨
第1条 債務者 B(以下「乙」という。)は、
債権者 A(以下「甲」という。) に対し、
本日、当事者間の
平成21年○月○○日付け金銭消費貸借契約に基づく金190万円
平成21年○月○○日付け金銭消費貸借契約に基づく金110万円
合計金300万円を借用し、これを返済する債務
を負担していることを承認し、これを次条以下の約
定で返済する旨約し、甲においてこれを承諾した。
ただし、上記 の金員は、○○銀行○○支店の
乙名義の普通口座(口座番号○○○)に振
込む方法で甲が乙に貸し渡した。
第2条 利息は、なしとする。
P2
第3条 乙は、甲に対し、上記金300万円を分割し、
平成21年12月末日から平成30年12月末
日まで、10回にわたり、毎年12月末日限り、
1回に金30万円ずつ支払う。支払い方法は、次
の金融機関の口座に振込む方法とする。
金融機関名 :○○
口座種別 :○○
口座番号 :○○
口座名義人 :甲
第4条 乙が、次の事由の一に該当するときは、乙は、
甲から何らの通知・催告が無くても当然に期限
の利益を失い、上記金300万円から既払い額を
控除した残債務全額を直ちに一括して支払う。
本契約に基づく分割金の支払を2回以上怠
ったとき。
乙が本契約の条項に違反したとき。
乙が、本日認証を受けた平成21年○月○○
日付け債務弁済契約附帯契約書に定められた条
項に違反したとき。
第5条 乙は、本証書記載の債務の履行を怠ったとき
P3
は、直ちに強制執行に服する旨陳述した。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−以上
本旨外の事項
大阪市○○区○○1丁目○番○号
会社員
債権者(甲) A
昭和○年○月○○日生
以下略
<附帯契約書>
第1条 債権者 A(以下「甲」という。) とB(以下「乙」という。)は、
甲乙が締結した債務弁済契約に附帯して、下記の契約を締結した。
第2条 −−−−−−−−−−−−−−− 以下省略。
以上
上記の通り合意したので、本書2通を作成し、甲乙各自保有する。
平成○年○月○○日
甲 A 印
乙 B 印


トップページへ戻る 前のページへ戻る

|